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五月兎の赤目雑記

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2008年 06月 14日

読書:国鉄改革の真実  「宮廷革命」と「啓蒙運動」

国鉄改革の真実  「宮廷革命」と「啓蒙運動」/ 葛西敬之 / 中央公論新社(2007)

筆者はJR東海の会長。
国鉄の分割民営化で労務問題を中心となって担当し、民営化を成功させた人らしい。
労組との交渉の話もあるが、政治家がらみの交渉も多かったようだ。当然ながら、国鉄当局側の視点で語っており、労組側に言わせれば違う視点になるだろう。

それよりも面白いのは、JR東日本との軋轢である。
国鉄の資産分割、負債償還、そして幹部職員の配分を担当していたチームは、JR東日本に手厚く資産を配分し、東海道新幹線の収益を分割後も全体に配分する仕組みを作ってしまう。そしてそのグループは全員JR東日本に配属されたという。
労務担当の筆者はJR東海に行かされ、以後はJR東海に不利な仕組みの解消に腐心することになる。
どうもJR東日本とJR東海は仲が悪いように感じていたが、そういった経緯があったわけなのだ。

あまり細かいデータは書いてないが、終わりに品川駅の用地区分が載っている。
会社別の持分は次のとおり。
国鉄清算事業団 10.0ha 簿価3.3億円
JR東日本     23.4ha 簿価7.5億円
JR貨物        2.2ha 簿価0.7億円
JR東海        2.5ha 簿価1095億円

土地の簿価が極端に違う。
分割民営化時にJR東海が品川で使っていた用地は取り上げられ、配分されなかったという。
その後、新幹線品川駅開業にあたりJR東海は土地の移譲を求めたのだが、結局分割民営化時の簿価の百倍以上で買わされた、と解釈できそうだ。
仲が悪くなるのも、無理もなさそうである。

by iron_pen | 2008-06-14 21:23 | 読書・本


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